
例1
あるグループの人々がデジタルカメラを買うことになる。
選べるモデルは2つ。 3万8千円か7万6千円 それぞれの機能を見比べたとき値段の設定は妥当に思える。
この場合、グループの中の半分は3万8千円を選び、残り半分は7万6千円の製品を選ぶという。 次に、さらに上級クラスの12万8千円のモデルが追加され、選べる機種は3種類となった。 すると不思議なことが起きる。 3万8千円の機種を選ぶ人は7万6千円の機種を選ぶ人より減ってしまうのだ。 上級の12万8千円の機種を選んだ人は別として、残りの2つの機種は人気度が同じであったはずなのこの結果だ。 このことから次の教訓が導き出される。
寿司屋のメニューで「上」をたくさん出したければ、構成を次のようにする。 特上6000円
上 5000円
中 4000円 選ぶというのは微妙な心理状態が働くものだ。 デジタルカメラがほしいと思って電気屋さんに行くとしよう。
いろいろなメーカーからたくさんの種類の製品が陳列されて、機能もいろいろ値段もいろいろでどれを選んでよいか迷ってしまう。 結局、選ぶことに疲れて、何も買わずに帰るということも起こりえる。 選択肢を増やしすぎると迷いと葛藤を生じさせ、買わないとかまた今度にするという選択も許してしまうのだ。
例2
焼き魚定食を食べるつもりで食堂に入る。
ダイエットしているはずなのにケーキをほおばっているというような現象をいう。 自動車のディーラーは新車を売るとき それを買おうとしている人が「新車の値段」より「自分の現在の車がどれだけ高く売れるか」ということに強い関心があることを知っている。 だから車を高い値段で引き取ってくれると思わせることで商談を成功させる。
これを「保有効果」という。 人間は一度手に入れたものに高い価値を感じる傾向がある。
あるものを得ることによる効用より、いま持っているものを失うことによる痛みの方が大きいのだ。 この様に経済の動きには人の感情が密接に関係しているのです。 明日は、人の感情と経済、投資の関係性を紐解いていきましょう。