経済

11-3 こうして、今のお金の原型ができた!

 episode 11-3

「こうして、今のお金の原型ができた!」

 
第1話
《お金=紙切れ?!》 なぜ価値があるのか?!
https://money-secret.thousand-ventures.jp/4113
 
第2話
貨幣のはじまり ~こうして経済は回ってきた~
https://money-secret.thousand-ventures.jp/4135
 
   
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夏美「昨日までで
   やっと銀行設立まできましたね!」
 
吉永「はい。
   明治5年(1872年)、

   <国立銀行条例>し、

   その翌年、
   最初の国立銀行が設立され、

   銀行券の発行

   が始まります。」
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吉永「ただし、

   <国立銀行>

   という
   名称であっても、
   国営銀行ではありませんでした。
   米国の

   <ナショナル・バンク>

   を国立銀行と訳してしまったのです。」
 

吉永“国の法律(国立銀行条例)に

   よって設立された銀行“

   という意味です。」
 
吉永「最初に設立されたのは、
   ・第一国立銀行
   ・第二国立銀行
   ・第四国立銀行
   そして
   ・第五国立銀行
   でした。」
 
涼子「設立順に
   番号がつけれたんですよね!」
 
夏美「そういえば、
   <第三銀行>
   はないんですか?」
 
吉永「はい。

   第三国立銀行は存在しません。

   設立をめぐって紛争となり、
   解散してしまったからです。」
 
吉永「ですので、
   現在三重県にある第三銀行は、
   第三国立銀行の後継
   というわけではありません。
   <第三相互銀行>
   から変わったものです。」
 
吉永「こうした国立銀行は、

   政府紙幣と金を元にして、

   それぞれ独自に銀行券を発行しました。

   銀行券の図柄はみな同じで、
   発行銀行名だけが異なる形式でした。
   銀行券の所有者は、

   この銀行券を銀行に持ち込めば、

   額面分の金と交換できました。」

  
吉永「これを

   <兌換(だかん)券>

   といいます。」
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吉永「ところが、
   銀行券の所有者は、
   次第に銀行券の
   流通量が減ってしまいます。」
 
吉永「困った明治政府は、
   兌換(だかん)紙幣でなくても
   紙幣を発行できるように法律を改正。

   不換紙幣が発行できる

   ようになりました。」
 
吉永「これにより、
   各地に国立銀行という名の
   民間銀行が次々に設立されました。」
 
夏美「今でも銀行名に
   数字がついている銀行が
   いくつかありますよね。」
 
吉永「はい。
   下の一覧はその時の名前が
   そのまま残っている銀行ですね。」
 
   ・第四銀行(新潟県新潟市)
   ※創立時の商号のまま現存する最古の銀行と言われています。
   ・十八銀行(長崎)
   ・七十七銀行(宮城県仙台市)
   ・百五銀行(三重県津市)
   ・百十四銀行(香川県高松市)
 
吉永「ただし、
   長野にある八十二銀行は、

   第十九銀行と六十三銀行が合併した際、

   両者の数字を合計して名づけられています。」

 
夏美「でも、
   <八十二銀行>
   ってもともとありましたよね?」
 
吉永「はい。
   でも、過去にあった八十二銀行は
   消滅していたので、
   ちょうどよかったのですね。」
 
夏美「そういえば、
   <第一国立銀行>は帝国銀行や
   第一銀行などの名前の変化はあったものの
   現在、

   <みずほ銀行>

   となっていますね。」
 
涼子「あの有名な銀行さんも
   ここから始まってるんですね。」
 
吉永「話は戻りますが、
   銀行がだんだんと
   作られてきたのですが

   不換紙幣が発行できるとなると、

   紙幣の乱発が発生します。

   これは

   インフレを引き起こします。」

 
夏美「紙幣の量が増えるとその分、
   一枚の紙幣の価値は下がりますもんね」
 
吉永「そこで、
   紙幣の乱発を防ぐため、
   中央銀行が兌換紙幣を
   発行する制度にする必要が
   あるとして、
   欧州の中央銀行をモデルに
   明治15年(1882年)、

   <日本銀行>

   が設立されました。」
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吉永「3年後の
   明治18年(1885年)から

   日本銀行券の発行

   が始まりました。」
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吉永「当初は銀本位制でしたが、
   明治30年(1897年)に

   金本位制となります。」

 
吉永「これは、

   日清戦争で得た多額の

   賠償金があったからこそ

   金本位制が実現できた

   といわれてますね。」
 
夏美「そのときの
   日本銀行券は
   同額の金と交換できたんですよね。」
 
吉永「その後、
   しばらくは兌換券の発行が
   続きますが、
   金本位制ですと、

   紙幣の発行高が、

   中央銀行が保有している

   金の量に制約されます。

   それを避けるため、
   昭和17年(1942年)、
   日本銀行券の発行は、
   保有する金の量に縛られなくなります。」
 
吉永「これを

   <管理通貨制度>

   といいます。」
 
吉永「日本銀行券は

   <不換紙幣>

   となりました。
   の裏付けのない、
   ただの紙になったのです。
   しかし、
   人々はこれを

   お金

   だと信じ続けました。」
 
夏美「だからこそ

   今使っている紙幣が

   お金と成り立っているんですね。」

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ABOUT ME
吉永 智徳
吉永 智徳
コックからFPに転身したという異色の経歴を持つ。2児の父。 不動産投資・税金対策・保険見直し・不労所得を得る方法など、 幅広い分野をカバーする知識で、5年で資産を30倍にしたお金のプロフェッショナル。 難しい金融のトピックもユーモアを交えてわかりやすく解説してくれると人気で、 セミナー受講者数は年間3000人を超える。 また、コンサルタントとして、会社社長から主婦まで、多様なお客様のライフプランニングを務めている。