2-1 まだまだ多い不動産投資の疑問
『地方の物件は危険なの?』

どんなに高利回りでも
地方の物件はお勧めしません。
これらの物件は、 前に説明した投資戦略の分類でいえば、 バリューアデッド型投資の典型で、 経営力と企画力が勝負となってくるからです。」
超高利回りの地方物件は、
ハイリスク・ハイリターンです。
土地勘や地域性、 そして賃料が安いために相対的に負担の重くなる修繕、 これらの目利きを間違えると、 大きな問題が発生するリスクがあります。もはや投資というよりは、
自営業や事業再生案件に近く、
労力がかかります。
なので全財産をかけるということは危険ですし、 管理会社に回せっきりで 悠々自適という運営はできません。」
リスクの高い物件で超過リターンを得ようとせず、
王道の投資をまっとうに行うことにより、
安定した収益確保を目指すのが固いです。」
涼子「急がば回れってことですね」 夏美「そもそも不動産投資は生活費の糧にしたり、 老後の備えのためにするわけですから、 ハイリスク・ハイリターンのギャンブル要素を 少なくするのが大切ですよ~」 吉永「ついでですから、 東京都心にはない地方特有のリスクについて いくつかご紹介しましょう」 涼子「えっ他にもリスクがあるんですか?」 吉永「そうなんです。さしあたり4つあります。①地域の賃貸需要が
大きく減少する可能性がある

長期保有前提の場合、周辺環境の変化が
賃貸付けの大きなリスク要因となるのです。」
涼子「東京近郊ではそういうことなさそうですよね?」 夏美「東京近郊なら、 地域の大学や工場がなくなっても、 価格さえ安ければベッドタウンとして 都心への通勤客を簡単に取り込むことができますからね」 吉永「そう。東京での賃貸は、 新宿・渋谷などのターミナル駅から部屋を探しはじめ、 そこで価格が高すぎる人は、 急行電車の止まる沿線の近辺に、 それでもまだ高いと思う人は、 もう少し先の各停電車しか止まらない駅に住むという 賃貸物件の探し方が定着しています。」 涼子「確かにそういう探し方になりますね…」 吉永「つまりは、 都心の賃貸マンションは常に満室で、 郊外の住居は都心に入りきらなかった人を 吸収するというピラミッド型の構造になっています。
地方は、管理会社やビル管理会社の
動きが悪い可能性がある
地方の高利回り物件は、 満室の状態であることが高利回りの条件となりますが、 ほとんどの場合空室だらけです。 つまり、高利回りは、 購入後に優秀な管理会社が満室の状態を維持してくれる という理想的な状況のみにおいて実現されるわけです。」 涼子「ということは、 賃貸付けをしてくれる管理会社の腕次第で 大きく利益が左右される…?」 吉永「その通りです! すべてではないですが、 地方の管理会社はゆるい感じのところが多く、 動きが悪いこともしばしばです。 この様に管理会社の動きが悪くても、 他に近場に頼める業者がなければ、 変更することもままなりません。
生命線である管理会社が非常に少なく、
担当を変更することもできないという
地方ならではのリスクは忘れてはいけません。」
涼子「じゃあ自分で動かざるを得ない…」 吉永「それが③の理由です。自分が率先して
動かなければいけないコストが生じる
バリューアデッド型なので、 価値を上げるために自分が率先して動かなければならず、 投資というよりは経営に近いプロジェクトになりますし、 交通費も自分の人件費もかかってしまい、 結果として損することもあるのです」 涼子「労せずして収入を見込みたいからの 不動産投資なのに、それじゃあ本末転倒ですもんね」 吉永「最後に④少数の銀行しか選べない
東京は、借入先の金融機関選定という観点で見ても、 都銀・地銀・信金はもちろん外資系銀行なども含め、 様々な貸し手が互いに競争している激戦区です。 しかし、地方の場合、融資の出し手が極めて限られています。
現在のところ、地方で物件を買うには、 スルガ銀行・地元の地銀と信金・日本政策金融公庫 くらいしか選択肢がありません。」 涼子「えっ!? 地方の物件買うときに 都心の銀行ってお金貸してくれないんですか?」